脱力系プログラマれっつらの送る、『ヒマが出来たら』的日記サイト。
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2002年07月24日(水):れっつらボクシング2のまき 日記
気持ちが少しでも緩めば、街のド真ん中でも大声でワアワア泣ける状態だった。
でも、僕には泣く理由が無いから、泣かなかった。
…こんばんは。れっつらです。


今日は4月末に引き続き、大学のゼミの友達のボクシングの試合を見に行ってきました。 あのときの彼の雄姿は、今でも僕の心の中に焼きついています。 今回は試合の時間が早く、普通に会社から行っても間に合いそうも無かったので、 僕はタクシーに乗って後楽園ホールに行ってきました。
僕が会場に入ったとき、ホールでは彼の試合の二つ前の試合が終わろうとしているところでした。 前回とは明らかに違う空気。 前回は、プロとは言え、格闘技と言うよりもスポーツといった感想を持った試合が多かったのですが 今日の会場は明らかに違っていました。 僕の見たその試合は、 どちらが負けてもおかしくない実力の2人が繰り広げる、 互いの意識を奪うためだけの必死の殴り合いでした。 殴り合いとは言っても、僕らには絶対に出来るわけの無い、物凄くレベルの高い殴り合い。 少しでも隙を見せれば、すぐさま自らの顔を連打され、確実に意識を奪われるような、そんな戦い。
彼の試合になりました。 僕の前の通路を歩き、リングに上る彼。 僕はこれまでの試合の迫力に押され、何の声援も贈ることが出来ませんでした。 でも、彼の顔は前の試合の彼の見せたそれのように、命を賭けたギラギラした顔をしていました。
試合が始まりました。 1ラウンド目は、彼も相手もお互い体力全開の、全力の殴り合い、守り合い。 あまりの迫力に、手に握る汗すら出てこなかったような殴り合い。 最初の休憩時間。 会場には、僕の他にも、彼の親戚や大学の友人、バイト友達が居たようなのですが そのほとんど全員が息を飲んだまま硬直していました。
2ラウンド目。1分が経ったころでしょうか。 最初にクリーンヒットを奪われたのは、彼の方でした。 相手はヒットを奪った勢いで、狂ったように彼に拳をぶつけていきます。 彼の陣営から、彼に激が投げかけられます。 「ガード、ガード!!」 「左!!左をもっと出すー!!」 このとき、僕の瞳からは、何か熱いものが込み上げてきそうになっていました。 だって守っても、拳の何発かは顔に当たってるんだよ? 左にしたって、もう試合の始まったばかりの頃のような速さは出ていないんだよ? しかし、僕らは彼の姿から目を背けることは出来ませんでした。 彼は、それでも精一杯相手を殴っています。 彼は、殴られながらも必死で相手の顔を殴っていたのです。 気付いたときには、互いの顔は、どちらも真っ赤になっていました。
決着が着いたのは、3ラウンド目が始まって、1分が経ったころでした。 体力と意識を回復した彼は、相手と果敢に打ち合い …そして、レフェリーに抱えられるまで相手を殴っていました。 …KO負けでした。 廊下で会った友達の眼は、僕と同じように赤くなっていました。 控え室から出た彼は、言葉を出す度にタオルを目に当てていました。
帰りの電車で、僕は色々なことを考えてしまいました。 彼は、こんなにも人に何かを与える、立派なボクサーになっていました。 会場で会ったゼミの友達の一人は、プロミュージシャンの卵として着実に努力している様子が伺えましたし。 「僕は、今、自分の夢のために頑張っているつもりだけど、 …あの人達と比べてみても、頑張っているように見えるかな?」 れっつらは、帰りの電車の中で、自分の気持ちを再び確かめたのでした。 つづく。